不動産は住みながら売却できる？手順やメリットについても解説

不動産を売却する際、引っ越し前に売却活動を進める「住みながら売却」という方法を検討する方も多いのではないでしょうか。
住みながら売却することで、新居への引っ越しタイミングや資金面での不安を抑えられるメリットがあります。
一方で、内見対応や生活感の整理など、事前に把握しておきたい注意点や工夫も必要です。
この記事では、住みながら不動産を売却する際の進め方やメリット・デメリット、注意すべきポイントを解説します。

不動産売却を住みながらおこなう方法

不動産を売却しても、同じ住まいに引き続き暮らせる方法としては、「売り先行」「リースバック」「リースバック」が代表的です。
住み替えや老後の生活資金確保など、人によって目的や状況が異なるため、各制度の仕組みや要件を理解して選ぶことが大切です。
ここでは、それぞれの方法の大まかな特徴についてご紹介します。

売り先行

売り先行は、まず今の住まいを売却して資金を得たうえで、その後に新居を購入する方法です。
売却資金を新居の頭金や購入費用に充てやすく、住宅ローンの残債がある場合でも売却代金で完済できる可能性があります。
たとえば、売却金額が想定より高くなれば、その分を新居のグレードアップや引っ越し費用に回せます。
しかし、売却後に希望に合う物件が見つからないと、仮住まいのために一時的な引っ越しが必要になる場合もあるため、注意が必要です。
また、売却活動中は内覧に対応する必要があり、部屋を常に整えておくなど日常生活に負担がかかる面も考慮しましょう。

リースバック

リースバックは、現在の自宅を第三者に売却した後、買主と賃貸契約を結んで同じ物件に住み続ける方法です。
まとまった資金を確保しながら、住み慣れた環境を維持できる点が魅力です。
特に、高齢の方や、お子さんの転校や通勤上の理由で引っ越しを避けたい家庭には大きな利点があります。
一方で、売却後は家賃の支払いが発生し、負担を継続的に負わなければなりません。
さらに、契約期間や更新時の条件によっては退去リスクがあり、売却価格も相場より低くなるケースが多いことに留意が必要です。

リバースモーゲージ

リバースモーゲージは、高齢者が自宅を担保に金融機関から融資を受け、契約者が亡くなった時点で物件を売却して返済に充てる制度です。
年金収入だけでは暮らしに不安があるときに、自宅を売却せずに生活資金を得られる点が特徴です。
融資期間中は住み続けられるため、慣れ親しんだ地域から離れずに生活を送れます。
ただし、利用には年齢制限や物件のエリア・構造など一定の条件があり、将来的に不動産価格が下落すると融資額を超えるリスクもあります。
契約前に金融機関から十分な説明を受け、返済や相続の形態を理解しておくことが大切です。

不動産売却を住みながらおこなうメリットとデメリット

住みながら売却を進める場合、経済的なメリットや生活スタイルへの影響など、さまざまな側面から良し悪しを考える必要があります。
ここでは「住み替え費用」「内覧」「生活感」の3つの観点から、メリットとデメリットを整理します。

住み替え費用

住みながら売却をおこなうと、売却で得た資金を次の住まいの頭金や購入費用に充当できる利点があります。
特に、ローン残債がある場合は売却益で完済し、新たな住宅ローンの負担を抑えることも可能です。
また、売却が完了してから新居を探すよりも、資金計画を立てながら同時に物件選びを進められるため、焦らず検討できます。
一方で、売却が長引けば新居の購入タイミングを逃すリスクがあるほか、引っ越し費用や仲介手数料など予想外の出費が重なる場合もあるため注意が必要です。
人気エリアで物件を探している場合などは、相場の上昇や競争激化によって予算オーバーにならないよう、こまめに情報収集をおこなうと安心です。

内覧

住みながら売却する場合、購入希望者の内覧対応が必須となります。
物件の印象は売却成功を左右する大きなポイントであり、こまめな掃除や整理整頓が求められます。
リビングやキッチンは生活感が出やすい場所なので、食器や洗濯物などの収納に気を配ると効果的です。
ただし、共働きで忙しい場合や小さなお子さんがいる家庭では、内覧の日時調整だけでも負担になることがあります。
不動産会社と協力して内覧希望者のスケジュールをうまく調整できるようにし、なるべく家族の負担を軽減しましょう。
必要に応じて、週末や休日のみに内覧日を集中させるなど、柔軟な対応策を相談してみるのも一つの方法です。

生活感

物件を見に来る人に好印象を持ってもらうには、清潔で生活感が程よく抑えられた空間づくりが大切です。
たとえば、使用頻度の低い荷物は事前にレンタル収納スペースなどへ移動させ、空間にゆとりを持たせると部屋が広く感じられます。
一方、家族が実際に暮らしている雰囲気を適度に残すことで、購入希望者が生活イメージを描きやすくなるメリットもあります。
ただし、ペットを飼っている場合は毛やにおいに注意し、内覧前には徹底的な清掃や消臭をおこないましょう。
特に、ペットをケージに入れるか別の部屋へ移動させるだけでも、購入希望者が安心して見学できる環境を整えられます。

不動産売却を住みながらおこなう際の注意点

住みながら売却をするには、掃除や新居探し、内覧対応などで細かな注意点が生じます。
日常生活を送りながらスムーズに売却を進めるため、以下の3つのポイントに注目してください。

掃除

内覧時の第一印象は非常に重要で、清潔感が成約に直結することもあります。
日常的に整理整頓をおこない、急な内覧希望にも素早く対応できる体制を整えましょう。
特に玄関は家の顔ともいわれ、来訪者が最初に目にする場所です。
靴の置き方やマットの汚れなど、小さな箇所も見逃さずこまめに手入れしてください。
水回りも汚れがたまりやすいので、カビや油汚れなどを早めに取り除くよう心掛けると良い印象を与えられます。

新居探し

住みながらの売却の場合、売却活動と新居探しを並行して進めることで、移行をスムーズにおこなえます。
売却が成立したタイミングで入居できる物件をあらかじめいくつか確保しておけば、仮住まいをする手間を減らせます。
家族の希望条件をリストアップし、予算や立地、設備などを明確にしておくと物件選びが効率的です。
また、内覧時に実際の環境を確認して、周囲の治安や公共施設へのアクセスなども併せて検討してください。
不動産会社に相談し、ネットやチラシだけでなく現地を何度か訪れると、より安心して候補を絞り込めます。

内覧対応

内覧は購入希望者が実際に物件の雰囲気をつかむ大切な機会です。
可能であれば、購入希望者の都合に合わせて内覧時間を調整し、家族全員で協力して静かで落ち着いた雰囲気を作りましょう。
テレビの音量を下げる、部屋の照明を適切に調整する、ペットを別室に移すなど、細やかな配慮が購入希望者の印象を大きく左右します。
特に、平日の夕方や週末に内覧希望が多くなる場合があるため、その時間帯に部屋を整えておくと見学しやすくなるでしょう。
また、内覧後に購入希望者から質問があったときは、できる範囲で丁寧に答え、住み心地や周辺環境を分かりやすく伝えることも好印象につながります。

まとめ

住みながら不動産を売却する場合は、費用や時間を抑えられる一方で、事前準備や配慮も求められます。
生活感が残る中での内覧対応には工夫が必要で、購入希望者への印象にも大きく関わる点に注意が必要です。
スムーズな売却を実現するためには、室内の整理や新居探しなどを計画的に進めることが大切です。