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不動産売却のインスペクションとは?メリットや費用も解説

不動産の売却

田中 康義

筆者 田中 康義

不動産キャリア12年

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住宅・不動産・保険・資産運用・教育資金・老後・生活全般のお金に関する事柄を、ファイナンシャルプランナー・宅地建物取引士・競売不動産取扱主任者・日商簿記2級・全珠連暗算1級を持つ私が、「お住まいコンシェルジュ」家造りコンサルティングサービスを通して、皆様のお役に立てるようお付き合いして参ります。

不動産売却のインスペクションとは?メリットや費用も解説

不動産を売却する際には、建物の状態を事前に確認できる「インスペクション」の実施が効果的です。
あらかじめ点検しておくことで、買主の不安を取り除き、契約後のトラブル防止にもつながります。
調査をおこなうタイミングや費用、依頼できる専門家の選び方なども押さえておくことが大切です。
本記事では、不動産売却におけるインスペクションの基礎知識と主なメリット、注意点を解説いたします。

不動産売却のインスペクションとは?

不動産売却のインスペクションとは?

インスペクションは、中古住宅の売買を安心して進めるための重要な制度です。
ここでは、「法的な位置づけ」「実施すべきタイミング」「準備の流れ」という3つの観点から解説いたします。

法的な位置づけ

結論から言うと、インスペクション自体は法的義務ではありませんが、2018年の宅建業法改正により、媒介契約時に調査の有無を説明し、重要事項説明では結果概要を通知することが宅建業者に義務づけられました。
改正によって、売主は調査を実施するかどうかを自ら判断できるようになり、市場の透明性と取引の安全性が高まっています。
たとえば、木造戸建ての場合、構造部材の劣化具合が数値で示されるため、補修計画を立てやすくなります。
購入後の不具合を巡る責任問題を避けるには、事前に劣化箇所を把握し、開示することが有効です。
インスペクション結果は報告書として可視化され、買主へ安心感を提供すると同時に、価格交渉の根拠資料にもなるでしょう。
インスペクションが導入された背景には、中古住宅の流通促進と空き家対策という国の政策的意図もあります。
調査をおこなうことで長期修繕計画を立てやすくなり、建物の資産価値を維持しやすい点も見逃せません。

インスペクションのタイミング

インスペクションは、売却活動を始める前におこなうのが理想とされています。
早期に調査結果を得れば、修繕の要否や適正価格を検討しやすく、契約不適合責任のリスク軽減にもつながります。
早期診断で必要箇所のみをピンポイントで補修すれば、百万円単位の大規模改修を回避できる場合もあるでしょう。
報告書を内見時に提示することで、買主の信頼度が向上し、交渉がスムーズになるため成約スピードもアップします。
さらに、調査済み物件として広告できるため他物件との差別化が図れ、キャンセルや値下げのリスクも抑えられます。
買主側でも、住宅ローンの審査時にインスペクション報告書の提出を求められるケースが増えており、結果を早めに準備しておくと手続き全般が円滑です。
金融機関の評価が上がれば、希望の融資条件で承認される可能性も高まります。

実施前の流れ

実施前には、媒介契約の段階で不動産会社に相談し、既存住宅状況調査技術者(技術者)の紹介を受けましょう。
技術者の建築士資格と登録番号を確認し、調査内容・スケジュール・費用をすり合わせると安心です。
当日までに、建築確認済証・図面・修繕履歴などを準備すれば、診断が円滑に進むでしょう。
基本調査は一戸建てで2〜3時間、詳細調査を含めると最大5時間程度で、報告書は数日〜1週間後に届きます。
結果は、補修の優先順位や買主への情報提供に活用でき、売却準備の全体工程を整えてくれます。
もし調査で重大な瑕疵が見つかった場合でも、早い段階なら売却計画を一度見直し、リフォームや価格調整といった打ち手を検討できるでしょう。

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売却前にインスペクションをするメリット

売却前にインスペクションをするメリット

売却前にインスペクションを実施することは、売主にとって多くのメリットをもたらします。
ここでは、主なメリットである「買主への安心感の提供」「不具合の事前把握」「売買後のトラブル防止」という3点を解説いたします。

安心を提供できる

第三者が客観的に評価した報告書は、物件の現況を明確に示します。
買主は、欠陥の有無を把握して購入判断を下せるため、不安が軽減されます。
売主にとっても、調査済み物件として広告できることは大きなアピールポイントとなり、内見時の印象向上や早期成約につながるでしょう。
さらに、報告書は火災保険料やリフォーム控除の算定資料としても活用でき、金銭的メリットを得られる場合もあります。
報告書は、電子データで共有できるため複数の関係者が同時に確認しやすく、遠方の買主との取引にも役立ちます。
とくに、築年数が古い物件では、耐震性能の数値評価を示すことで金融機関の評価も得やすくなるでしょう。

不具合の有無を把握できる

屋根や外壁のひび、床下の湿気など見えにくい劣化まで確認でき、修繕するか現状有姿で売るかを早期に判断できます。
結果はレーダーチャートで可視化されるケースもあり、部位別の劣化度をより一目で把握できるでしょう。
適切な対応策を選べば、想定外のコスト増や交渉の長期化を防ぎ、スムーズな決済へとつながります。
不具合箇所を写真付きで開示すれば、買主が追加で調査を依頼する手間を省けるため、決断までの時間を短縮できます。

後々のトラブルを未然に防ぐ

事前調査により、契約不適合責任を追及されるリスクが低減し、売却後のトラブルを回避できます。
トラブル防止は買主の満足度向上にも寄与し、口コミや紹介面でもプラスに働きます。
双方の合意形成がスムーズになり、引き渡し後の追加請求や法的トラブルの抑止効果が期待できるでしょう。

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不動産売却インスペクションの費用と依頼先

不動産売却インスペクションの費用と依頼先

インスペクションを依頼する際は、「どのくらいの費用がかかるのか」また「誰に頼めば良いのか」という2点が重要になります。
ここでは、まず「費用の相場」を解説し、次に依頼先となる「技術者の資格」について解説いたします。

インスペクションの費用相場

一戸建ての基本診断は5〜7万円が目安で、床下・天井裏の詳細診断を追加すると10万円を超えることもあります。
相見積もりを取る際は、報告書のページ数やカラー写真の有無など仕様条件を揃えて比較することが重要です。
マンションの場合は構造が単純なため、4〜6万円程度に収まるケースが多いです。
調査費用は経費として計上できる場合もあるため、税理士に相談すると節税につながる場合があります。
近年は、赤外線カメラやドローンを使ったオプション調査も登場しており、追加費用は発生しますが屋根や外壁高所の状態を安全に確認できます。

既存住宅状況調査技術者が調査をおこなう

調査は、国土交通省講習を修了した建築士の技術者が担当します。
調査中は売主立会いが推奨され、リアルタイムで劣化箇所を確認できるため後日の追加質問を減らせるでしょう。
構造・雨漏り・法規に精通しているため、中立的な視点で劣化を診断できます。
資格者名簿は国土交通省ホームページで公開されているので、依頼前に登録状況を確認すると確実です。
技術者は定期的に更新講習を受講しており、最新の診断手法や関連法規を把握している点も安心材料です。

中立的な立場のインスペクターが診断をおこなう

依頼先は、業界団体に登録された独立系技術者が望ましく、報告書例や過去の実績を確認すると信頼度を測れます。
面談で調査方法や納期、アフターフォローの有無を確認しておくと、後の認識違いを防げます。
専門家が利害関係を持たない中立的立場であることは、買主への説得力を高める重要な条件です。
中立性が担保されていれば、報告書を買主の金融機関や保険会社へ提出する際の信用度も高まります。
また、調査後に発生した疑問への追加説明や補足写真の提供といったサポート体制がある会社を選ぶと、売主と買主の双方が納得しやすくなるでしょう。

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まとめ

インスペクションは、売却前に物件の状態を明確にできるため、買主への信頼感を高める有効な手段となります。
診断結果が可視化されることで価格交渉がスムーズになり、契約後のトラブル防止にもつながります。
一定の費用はかかりますが、安心して売却を進めたい方にとって大きなメリットが得られるでしょう。

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株式会社TEAM ZERO

松本市周辺に根差したきめ細やかな提案で、お客様一人ひとりの価値観に寄り添った対応を心がけています。
不動産は人生を左右する大きな選択だからこそ、誠実な情報提供と親身なサポートを信条としています。

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・何度でも相談無料
・ライフスタイルに合わせた提案と購入後のアフターサポート
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■事業
・不動産売買(新築 / 中古の戸建てや土地)の提案
・ライフプランに加えて、住宅ローンや保険に関する相談対応など


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